江戸の美意識

「小股の切れ上がったいい女」とは
「小股が切れ上がる」とはどういう「様」をいうのか。
杉浦日向子が「ぶらり江戸学」という著書の中で
 この左はじの女の人が「切れ上がってる」んです

と、受け合ってくれている。
 「小股の切れ上がったいい女」というのは江戸前のレトリックであり
 「弦を張った弓のような足」の美しさを表現した言い方なんだ
と。
で、
それはどういう「足」かと言うと
 横から見ると
 太ももは細くしなって
 ももから膝、膝から下へS字型を描くような格好の足
 正面から見ると
 すっと立った時に
 左右のくるぶしはちゃんとつくのに膝はつかないという
 ちょいとO脚
 もものところがぴたっとくっつかず、うす〜く隙間がある

 こういう足がさっそうと歩くと
 S字型のラインが着物のすそを巧みに開くような動きにするので
 この絵のような情景が往来で起こる
 しかもこの絵をみると膝のかなり上のほうまで露わになってますが
 これは浮世絵での誇張ではなくて
 この頃の着物の仕立ては合わせが浅かったこともあり
 歩いたり風が吹いたりすると
 膝上20センチくらいまで捲れてしまったそうで、、。

江戸のおしゃれ女子は内股近くにまでおしろいを塗ったんだというふうに説明をしている。
なるほどっと初めて納得のいく説明が聞けました。

*杉浦日向子 1992年 ぶらり江戸学 マドラ出版 からの転載

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